2013年4月18日木曜日

不動産管理/所有のための資産管理会社をつくるべきか?

前回、主にはIPOを想定しているオーナー社長の持株会社の設立可否について記載しましたが、持株会社に並んで実務での検討ケースが多いのが、不動産管理会社、もしくは不動産保有会社です。

不動産保有会社が、名前のとおり不動産を直接保有するのに対して、不動産管理会社は、不動産の所有は個人のままで管理のみを会社で行う形態です。
不動産管理会社には、一部、管理料を収受する(賃料収入の57%程度が会社の売上となる)、不動産管理会社を通じてサブリースを行う(賃料収入の10-15%程度が実質的に会社の売上となる)2パターンありますが、いずれにしても法人として不動産の賃貸/管理を行っているという実態に応じて、その管理料(もしくは、サブリース料)を取るというスキームになります。
 下記において、個人による直接投資と、不動産管理会社、不動産保有会社の各ケースついて、税務上の論点を簡単にまとめてみました。



まず、既に個人で保有している物件を資産管理会社に移管する場合においては、移管時点での移転コストが気になるところです。不動産取得税については、固定資産税評価額の【3-4%】かかりますし、また、登録免許税も固定資産税評価額の【2%】程度かかります。

また、含み益のある土地などを移管すると、個人での売却益に【20%(長期保有)、39%(短期保有)】の譲渡所得税が生じる可能性もあります。よって、建物の移管であれば、簿価で行う限りは課税が生じないため、建物のみを資産管理会社へ移管し、税務上のメリットを享受するという方法も考えられます。(一般的に、土地の利回りよりは、建物の利回りのほうが良いと思われますので、建物のみの移管でも管理は若干煩雑にはなりますが、相応のメリットが得られます。)

そして、最大の検討課題は、移管後のランニングで生じる税コスト(賃料収益にかかる個人、法人への税金)の問題です。個人保有の場合は、どうしても保有者に所得が集中してしまうのですが、法人所有だと、親族などへ「業務」を分担することを通じて、給与の支払いを通じて所得分散も可能となります。また、給与で支払うことによって、付随的に給与所得控除を取ることができます。
これらの税効果は、一般的には、不動産保有会社のケースが最も大きく取れ、次いで、不動産管理会社でのサブリースのケース、不動産管理会社での管理料のケースという順番になります。

なお、バブル期など、キャピタルゲイン目的で不動産投資を行うような場合には、譲渡所得税の税率メリットを取るために敢えて個人で投資をするケースも多かったようですが、その後の税制改正で、短期売買では増税されましたし、また最近ではどちらかといえば、インカムゲイン目的での投資が主流なので、売買損益については、あまり考慮しなくてもよいのかもしれません。

また、相続対策という観点からは、個人保有だとダイレクトに評価額が下がるため、相続税の減額に寄与するのですが、法人所有とした場合には、相続/贈与評価上は、資産管理会社の株式を通じて間接的に不動産は評価されますが、3年間は評価額が下がらない(取得額ベースでの評価)という縛りがあるため、即効性のある対策にならないことに留意が必要です。

従って、ランニングの税効果を考えると、通常は、不動産保有会社のケースが最善と思われますが、初期の移管コストが多額になってしまうことや、時限性のある相続/贈与対策の観点からは、個人所有とした上で、不動産管理会社を設立したほうが望ましい可能性もあります。