2013年3月11日月曜日

持ち株会社としての資産管理会社をつくるべきか?

1月に発表された今年度の税制改正大綱によると、2013年の12月末をもって、上場企業の株式譲渡益課税の税率が、10%⇒20%と上昇する見込みです。つまり、今年の年末までに含み益のある上場株式を売却すれば10%の課税で済むものの、来年以降に売却すると、20%の課税が生じることになるわけです。
これを受けて、ここ1ヶ月ほどで、数人のオーナー経営者(上場、非上場とも)の方から、資本政策をどうしようか?上場を目指しているのですが持株会社を作ったほうがよいですか?といったご相談を頂きました。

個人による直接投資なのか、資産管理会社経由による間接投資なのかは、税務の観点から見ても、プラス/マイナスがありますので、まずはそれをまとめてみました。





税務の点に限定してみると、有る程度早い段階で事業売却をして引退や新規事業の立ち上げなどを想定している場合には、株式譲渡時の課税(手取り額)を重視して、(資産管理会社を使わずに)全て個人とするのが税効率上は望ましいと思います。

一方、ある程度、長い年月をかけて事業を育てて、配当として受け取っていくことを考えている場合や、将来的に、ご子息などへの自社株の相続(贈与)を想定している場合には、資産管理会社を設立し、そこにある程度の割合の株数を移すことも考えられます。(相続税対策の場合は、ご子息などを資産管理会社の株主とすることも一案です。また、25%以上のシェアの株式を資産管理会社で保有すれば、受取配当金が全て課税対象外となるメリットもあります。)

また、税務以外の面でいえば、対外的に公私の区分を付けて、事業を行う場合など(例:スポーツチーム運営や、慈善事業など、本業のためとは言い切れないもの)については、オーナー家の資産管理会社のほうが好ましいという考え方もあります。

資産管理会社を作るべきかどうかは、結局のところ、ご自身のライフプランや事業の計画、税に対するコスト意識などを総合勘案して検討いただくしかなさそうですが、環境としては、個人の株式譲渡所得のメリットは小さくなる一方、会社としての法人税率は減税されることが決まっているため、IPOを目指しているベンチャー企業においては(または、上場している会社においても)資産管理会社を設立するケースは確実に増えるのではないでしょうか。

ただ、実務上、ややこしいのが、株価が低い段階で設立して、株式の移管を行う分には個人への譲渡所得税は限定的なのですが、会社の状況がよくなってきている段階だと、株価が上がっていることもあり、移管のための課税が生じる可能性があります。従って、資産管理会社を作るにしても、設立のタイミングは非常に難しいため、有る程度早い段階から検討を行う必要があります。また、税務だけの効果を考えても、税制変更のリスクなどは常にありますので、その点は十分にご留意ください。