2012年11月29日木曜日

定款記載の「相続人等に対する売渡請求権」の留意点

会社法では、譲渡制限会社の定款において自社株の「相続人等に対する売渡請求権」を付与することが認められています。すなわち、定款であらかじめ定めておけば、相続等によって会社にとって望ましくない株主の登場する際には、会社は買取の権利を行使して、その株主の登場を阻止することができるという制度です。

最近、会社の設立や定款の見直しにあたって、比較的多くの会社が、この売渡請求権を定めているケースが多くなっているようですが、意外な落とし穴があるため注意が必要です。

この制度は、もともとは、例えば、90%のシェアを持つオーナー社長と、10%のシェアをもつオーナー家ではない株主が居た場合に、10%の株主が亡くなった場合に会社がスムーズに買い取れることを目的として創設されているのです。
ただ、逆に90%のシェアを持つオーナー社長が亡くなった場合で、残されたオーナー家が望まないにもかかわらず、理論的には、この制度の適用が出来てしまう可能性があります。つまり、10%の非オーナー株主による乗っ取りのリスクが生じるのです。

このリスクを予め防止するためには、そもそもの売渡請求権自体を外してしまうという方法ももちろんありますが、少数株主対策を目的とした売渡請求権を残した上で、次のような対策も考えられます。

①オーナー家の保有する株式については、相続が発生したとしても、売渡請求権を排除するなどの定款の定めを置く方法
②オーナー家株式を種類株式として、売渡請求の対象から除外する方法(例えば、譲渡自由とするなど)
③オーナー家以外の株式を種類株式として、議決権を制限してしまう方法
④オーナー家保有株式を持株会社などに移し、間接所有とする方法

実際には、会社法をベースとして、少数株主のニーズ、関係性などを考慮しつつ、検討していく必要がありそうです。